NPO法人とは
当事務所は、NPO法人の設立について、得意分野として取り扱っています。
私自身もNPO法人の理事をしており、申請段階から関わらして頂いております。
以下に、福岡市から認証を受け、NPO法人を立ち上げるための要点を説明しています。
申請マニュアルや手引をコピペしたようなHPがたくさんありますが、実際に実務上、問題となる情報を主点にして載せています。(逆に、福岡市発行の申請マニュアルと合わせれば、ご自分で申請される際の参考になると思います。)
NPO法人設立前に注意する点
NPO法人は、財政的にも活動的にも運営が厳しい団体の方が多いというのが現状です。
ただ安価というだけでNPOを立ち上げたところ、年度末の報告書を出さずに認証を取り消されたり、定款の目的作成の甘さから、最も煩雑な作業となる定款の再作成をおこなったりという例が後を絶ちません。(会社設立の際、事業目的をひたすら増やして設立する場合がありますが、NPO法人でそれをやると、必ず矛盾が生じてきます。そもそも、目的の数が決まっております)。
しかしながら、信用面では、指定管理の受託や公共事業への入札、金銭面では、税法上のメリット、活動としては、広報活動が受け入れられやすく、公共施設も利用しやすくなる-このような利益は、株式会社では得にくいものです。本気で活動していくのならば、NPO法人は、オススメです。
ちなみに、NPO法人は非営利ということで、利益を出してはいけないということが実しやかに囁かれておりますが、ここで言う非営利は意味が違います。
詳細は他のHPにたくさん書いてありますので、省きますが、株式会社のように利益を出すことは何ら問題ありません。
NPO法人設立で最も難しいのは、人数集め
NPO法人を設立するにあたり、最も難しいのは、メンバーを集めることです。なんだそんなことかと思われるかもしれませんが、NPO法人設立を断念する場合の多くは、これが理由になります。なぜ、これが問題になるかというと、信用・信頼できる人間を集める必要があるからです。
株式会社ならば、1人でも設立可能ですが、NPO法人は、最低でも10人必要です。ここで、この10人を中心となる4人とその他6人に分けて考えます。
まず、4人は少なくとも完全な他人(親族ではダメということ)であることが必要です。4人の友人を集め、残り6人は、家族や親戚で固めるということは可能です。また、6人の中には、法人がいても構いません。
この4人は会社で言うところの取締役や監査役、つまり役員です。残り6人は、出資者といったイメージでしょうか。会社と違い、この4人を親族で固められないところに、NPO法人設立の難しさがあります。
メンバーさえ集まれば、資本金や法定費用はかかりませんので、金銭的な負担は少ないといえます。ただし、解散する場合は、約8万円程度の出費が必要となります。その際、清算人は理事が行うことが通常ですので、現実問題として、この出費は理事のうち、誰かが手出しすることになります。
正直、このメンバーさえ集まれば、設立のための雛形や「だれでもできるNPO設立」といった類の本はいくらでもありますので、設立はご自分でも十分可能です。
それよりも、問題となるのは、それぞれの負う責任をきっちりと説明できるかどうかです。基本的には、法的責任はNPO法人が負いますが、例えば、銀行によっては、運転資金の融資に理事全員の連帯保証を求める場合があります。
また、理事、監事は名前が公表されますので、副業の場合は、就業規則との兼ね合いに注意が必要です。
ほかにも、リスクがありますが、代表者が、これら理事になるリスクの説明が十分にできずに、設立途中で、理事を辞めたいと申し出る方がいて、頓挫する場合があります。
NPO法人設立にあたって
時間に余裕があり、人数を集められる場合は、NPO法人をまずは、自分で設立することをおすすめします。これからNPO法人運営していくことを考えると、仕組みを知ることはとても大事なことだと考えるからです。
ちなみに、NPO法人の不認証は、各県、指定都市ともほとんどありません。(東京都は例外で、不認証が多いです)。もともと限りなく100%に近い認証率ですから、ご自分でされることも検討された方が良いと思われます。また、HPで認証率100%を謳っているような行政書士事務所は、注意が必要かもしれません。
専門家に頼む場合は、「人数は集まったが、時間を割けない」、「自分の時間単価を考えたら、専門家に頼んだ方が安くつく」といった場合だと思います。そのような場合は是非、当事務所にご依頼をご検討下さい。適切なアドバイスが可能と思います。当然ではありますが、登記については、司法書士の先生にお願いしています。設立後の運営については、必要があれば、税理士の先生をご紹介しています。
NPO法人設立のポイント
相談窓口及び申請先は、福岡市役所の7階になります。郵送でも可能ですが、顔合わせをしていた方が後々スムーズに申請が進むと思います。
設立にあたっては、福岡市役所にまず必要書類を提出し、書類に不備がなければ、2ヶ月半後(福岡市の場合)に認証書を受け取りに行きます。この時、代表者が年度毎に提出する書類等の説明を受ける必要があります。
また、認証書を受け取ったら2週間以内に登記が必要です。
NPO法人の印鑑を作成しておきましょう。印鑑は会社印同様18ミリのものが良いでしょう。
書類提出については提出日が重要です。事業年度との兼ね合いがあるので、市と認証が下りる日程は、事前に調整した方が良いでしょう。そうしないと、株式会社と同様、最初の事業年度が極端に短くなってしまい、活動報告書や決算書等が中身のないものになってしまう可能性があります。
ちなみに、縦覧期間の2ヶ月半の期間を短くすることはできませんが、長くすることは、ある程度調整がききます。NPO以外で株式会社等を経営されているなら、事業年度を調整するか、認証日を調整して、決算がまとまるようにした方が良いと思います。
NPO法人設立で難しい書類は4つだけ
福岡市の場合、認証のために提出する書類は11種類(一つは住民票)ですが、このうち、雛形があっても、作成が難しいと思われるものは、4つあります。定款、設立趣旨書、事業計画書、活動予算書の4つです。残りは、押印や記名程度ですので、難しくないと思います。それぞれの書類作成は、福岡市HPにあるマニュアルが秀逸ですので、読みこめば時間はかかりますが、作成は可能です。以下は、見落としがちなそれぞれのポイントです。
1 定款について
理事会と総会で決議事項を変更する場合は、雛形を矛盾なく変更する必要があります。また、文章中「,」「、」「・」を明確に区別する必要があります。(公文書の書式に則る)
2 設立趣旨書について
作文能力が必要。事業が似ていれば、他のNPO法人のものを探して、参考にする方法もあります。
3 事業計画書について
その他の事業についての解釈や定款及び設立趣旨書との整合性をあわせる必要があります。
4 活動予算書について
事業計画書との整合性。事業費と管理費についての按分方法やNPO法人会計基準の知識がある程度必要。
一見難しいように思われますが、3、4はあくまで計画段階として作成しますので、整合性を合わせることが重要です。